日本の東南アジアへの売り込みは攻撃態勢

中国がアジアに及ぼす影響力が大きくなり続けている中、その力に対抗するため日本は東南アジア諸国への協力体制をますます強めています。この状況は、強国間の繊細な綱渡り状態が保たれている間は、東南アジア諸国には有利でしょう。

中日関係はこの数年で悪化が進んでおり、数多くの出来事がこの下向きの流れを加速させてきました。一つ目は、東シナ海の領域問題で、二国間の緊張を高めました。中国と日本は、日本では尖閣、中国ではディアオユーと呼ばれる小さな無人島地帯の海上領有権をめぐり争っています。

中国が軍事力を伸ばすにつれ、日本はその地域のセキュリティーの強化を図ってきました。安倍政権の軍事力最高を目指すやり方が、中国を封じ込めるための日本の取り組みの重要な要素です。それに対し中国は、日本の軍国主義と歴史修正問題について国際的な注目を引きつけることで対抗しています。また、このようなセキュリティー面での問題の他にも、日本は中国を経済的な脅威として見ています。中国は2010年に、日本を抑えて世界2番目の経済大国となりましたが、それ以来ASEANを主要貿易パートナーとしたままです。中国も日本も地域の支配力争いにくぎ付けとなっている状態です。

地域防衛の連携強化

ますます攻撃的になりつつある中国に対して、日本は地域防衛の連携を強化するべく動いており、この動きを特定の東南アジア諸国は歓迎しています。それらの国は現在中国との領域争いを抱えている、ブルネイ・マレーシア・フィリピン・ベトナムなどで、南シナ海に領有する島をめぐって中国と領有権を争っています。中国の領土拡大を抑えるために、日本はこれらの国々と協力し、防衛の連携強化を行っています。

ベトナムの指導者たちと日本は2014年に、海上の安全保障に関する戦略的パートナーシップの強化について同意しました。2015年3月には、日本とインドネシアが、インドネシア国軍への日本のキャパシティビルディング支援を含む防衛協力協定に署名しています。また、この2国は海洋セキュリティを検証するための「日本インドネシア海洋フォーラム」の立ち上げの同意も行っています。

2015年5月には、日本とマレーシアが防衛関係の強化に同意をしています。日本の安倍晋三首相は、マレーシアのナジブ・ラザク首相に「戦略的パートナーシップにおける二国間の繋がりを強める(具体的には、防衛装備の面での協力に同意する)」こと、また、「海洋の安全のために協力する」ことを確約しました。

2015年当時のベニグノ・アキノ大統領は、武器貿易協定と軍事面での協力の強化を目的として訪日しました。戦略的パートナーシップでは、南シナ海の沿岸防衛に協力するために日本からフィリピンに軍用装備品や軍用技術の提供することになっています。

二国間の投資・貿易強化

2013年のASEAN諸国全体のGDPは2.4兆ドルとなっていましたが、これはせかいで7番目の経済力で、2050年までには4番目まで上がる可能性があります。6億人を超える人口を抱えるASEAN市場は将来、北米やEUよりも大きくなるのです。このためASEAN地域は潜在的投資の貴重な出どころとなっています。

現在、中国はASEANの第一の貿易パートナーですが、最近の統計によると、ASEAN-中国の貿易総額は366兆5,410億ドルとなっています。対して、日本との貿易総額は、229兆760億ドルです。

日本はこの格差に対応して、地域的経済協力関係を拡大することで、ASEAN地域で成長中の経済を活用しようとしてきました。2015年7月に東京で行われた日本・メコン地域諸国首脳会談では、日本の外務大臣が、カンボジア・ベトナム・ラオス・ミャンマー・タイなどのメコン諸国への7,500億円(61億ドル)の経済支援の約束をしています。

中国主導のアジア開発銀行に対抗することを目的として、日本はアジアの開発支援のために1,100億ドルの投資を行うと発表しました。中国と日本はインドネシア初の新幹線建設でも競っています。中国はインドネシアに年間2%の金利と共に40億ドルの貸し付けをもちかけています。一方日本は、中国の上をいくことを願って、建設計画に必要な資金の75%をカバーする33億ドルを超低金利で貸し付けることを申し出ています。

日本と東南アジア諸国は、地域の安全保障や経済協力の面からも得るものが多いと言えますが、リスクもあります。中国を刺激することなく日本との絆を深めることができれば良いのですが、ASEAN諸国は、日中の争いの微妙な立場に置かれたままです。注意深い駆け引きが求められる中、少なくとも短期間で今の関係を危険にさらす可能性は低そうです。

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